部門・センター

睡眠障害センター

概要・特色

ごあいさつ

名鉄病院睡眠障害センターに就任した中田誠一です。2024年3月までは藤田医科大学ばんたね病院耳鼻咽喉科・睡眠呼吸学の主任教授を務めていましたが、定年退職に伴い、名鉄病院からお誘いのお言葉をいただき睡眠障害センターを2024年4月1日付けで設置させていただきました。
睡眠障害と一口に言っても、疾患の種類や症状は多岐にわたります。いびき、無呼吸を伴う睡眠時無呼吸症、寝つきが悪く、夜中に何度も起きてしまう不眠症、日中の眠気が強い過眠症、睡眠中に手足がピクピク動いたりムズムズしたりする睡眠関連運動障害、適切な時間に入眠できず、起床することもできない概日リズム睡眠覚醒障害、睡眠中の異常な行動が伴う睡眠随伴症などと睡眠障害といっても本当に多くの疾患があります。
この疾患は大人だけではございません。赤ちゃんから高齢の方々まで悩まれることがあります。この疾患を調べるためには、病院に1泊入院して検査が必要です。睡眠障害センター開設に伴い、入院検査する部屋を3部屋新設し、検査装置も3台追加導入致しました。経験豊富な日本睡眠学会の総合専門医と専門検査技師が、検査から診断・治療まで連携して対応いたします。

外来担当日
月曜日(午前・午後)
木曜日(午前・午後)

主な対象疾患

  • 睡眠時無呼吸症
  • レム睡眠行動障害
  • 周期性四肢運動障害
  • ナルコレプシー

睡眠時無呼吸症

主に睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなったり、一時的に閉塞したりすることによって無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まること)と大きないびきを繰り返す病気です。睡眠中の無呼吸やいびきによって良質な睡眠が妨げられ、日中も眠気を感じ、集中力が低下して事故の原因となることもあります。また、睡眠中に体内の酸素量が不足しがちになることで全身のさまざまな部位に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる合併症を引き起こしやすくなることも分かっています。

レム睡眠行動障害

浅い眠りに入った状態(レム睡眠期)で見る夢の内容が行動化するもので、夢の内容に一致するような形で大声を出して叫んだり、体が動いたりします。レム睡眠行動障害は、50歳以降の男性に多く、加齢に伴い増加します。現在もしくは将来のパーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症といった神経疾患と関係すると考えられています。
・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
夜になると出現する下肢を中心とした異常感覚(なんだかむずむずする、虫が這うような感覚など)により、脚を動かしたりかいたりせずにはいられなくなる病気です。脚を動かすと症状がよくなることが多いです。

周期性四肢運動障害

睡眠中に足や腕がピクピク動いてしまう病気です。動きは数秒から数分間隔で繰り返されますが、患者は運動に気づいていないことがほとんどです。そのためぐっすりと眠ることができず、夜間に何度も目が覚めてしまうことによって不眠気味となったり、日中に強い眠気に襲われてしまうようになったりします。

ナルコレプシー

寝てはいけない重要な場面でも我慢できないほどの強い眠気に襲われたり、突然眠ったりする病気です。強い感情が起きた時に身体が脱力するなどの特徴があります。

このような症状がある方は・・・

・いびきがうるさいと言われる
・呼吸が止まっていると言われる
・日中に耐え難い眠気がある
・朝起きた時にスッキリしない
・集中力が続かない

一度検査を受けてみることをおすすめします。

検査の流れ

PSG検査は1泊入院してもらって行う検査で、睡眠関連の疾患を診断する最も正確な検査です。脳波・目の動き・鼻や口からの気流の動き・心電図・胸や腹部の動き・酸素飽和度・足の動きなどを調べる電極を付けて寝てもらいます。また、体の動き全体を確認するビデオも同時に記録します。原則として、検査日の夕方に来ていただき、約1時間程度かけて上記のセンサーを付け寝て頂きます。翌朝、センサーを外して退院となります。費用は3万円余りです。結果は次回診察時に説明となります。

治療について

①CPAP療法
最も一般的なのが睡眠時にCPAP(シーパップ)という機械を使用する経鼻的持続陽圧呼吸療法です。睡眠時に鼻マスクを着用し、専用の装置で鼻から気道へと圧力をかけた空気を送り込むことにより上気道を広げ、寝ている間に気道が塞がってしまうことを防ぎ、睡眠時も呼吸が維持されるようにする治療方法です。
CPAP治療には健康保険が適用になります。治療開始後は、月に1回程度医療機関を受診して、治療効果の確認や治療を続けていくうえでの問題点の評価をすることが一般的です。なおCPAP療法は根治治療ではなく、治療の継続により症状の改善や合併症を予防するものです。
② 外科手術

1)鼻の手術
左右の鼻腔の間にある鼻中隔が曲がっている場合に、手術によって鼻中隔を矯正して、鼻腔を拡げる手術があります(鼻中隔矯正術)。同時に、下鼻甲介の内側にある骨を取り除いて、鼻腔通気性を改善させる術式を追加する場合もあります(粘膜下下鼻甲介骨切除術)。
鼻の粘膜が肥厚している場合は、鼻粘膜焼灼術によって鼻づまりを改善させることがあります。

2)のどの手術
口蓋扁桃、アデノイドが大きい場合には、アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術を検討します。小児では多く選択される術式です。成人では、軟口蓋、口蓋垂の一部を切除することで、喉の空間を広げる手術もあります(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術 保険病名で言うと軟口蓋形成術)。
③ 歯科装具(マウスピース)
睡眠中、下顎や舌を前方に押し出すように固定する歯科装具(マウスピース)を装着することにより、下顎が下がらないようにして舌の後方の気道スペースを広げ、気道を確保、いびきや無呼吸を軽減する治療方法です。個々の患者さんの歯型に合わせて歯科装具を作成します。歯科装具は軽症から中等症の一部の睡眠時無呼吸症の人には有効だと考えられています。
④ 舌下神経電気刺激療法
閉塞性睡眠時無呼吸に対する新しい治療法で、2021年6月に保険適用が認められました。手術で鎖骨下に埋め込んだパルスジェネレータが無呼吸を感知すると、電気刺激がセンサーリードを通して舌を動かす神経(舌下神経)を刺激し、舌が前へ出てのどが狭くなることを防ぎます。毎日就寝前に外部コントローラーを操作して、スイッチをオンにすると装置が作動します。
この治療は、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症、CPAP治療に耐えられない、肥満指数(BMI)が30kg/m²未満であるなどといった適応条件があります。

担当医紹介

役 職
耳鼻咽喉科付部長 兼 睡眠障害センター長
氏 名
中田 誠一
卒業年
平成元年
専門領域
耳鼻科領域一般 漢方治療
睡眠時無呼吸の診断・治療
鼻腔症例 咽喉症例含む
睡眠時手術 甲状腺手術
資 格
耳鼻咽喉科専門医
日本睡眠学会専門医
東洋医学会専門医・指導医
所属学会
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本睡眠学会
日本東洋医学会

コメント

小児から成人まで幅広く睡眠時無呼吸の患者さまに対し、診断のPSG検査と共にCPAP,手術治療(鼻・咽頭の手術、舌下神経電気刺激装置植込み術)その他の治療に取り組んでいます。
又、突然眠ってしまうナルコレプシー、寝る前の足がムズムズするムズムズ足症候群、寝る時間が段々遅くなる睡眠相後退症候群等、睡眠障害についても幅広く診ていますので是非ご相談ください。