部門・センター

内視鏡センター

概要・特色

当センターは、2015年9月に名鉄病院 新1号館での診療が開始した同年11月1日より、運用が開始されました。フットワークが軽く、胃カメラは絶食で来院されれば当日でも施行が可能です。大腸カメラも2週間以内には施行できることがほとんどで、大腸ポリープ切除は基本的に日帰りで施行しています。胃カメラ、大腸カメラを同日に施行することも可能です。また、不安の強い方や以前の検査で苦痛があった方には、積極的に鎮静での検査も勧めています。その場合、当日の自動車、自転車の運転は控えて頂いていますが、当院は名古屋駅から一駅の名鉄栄生駅と直結しており、鎮静剤使用時も安心して来院頂けます。
 最新の内視鏡機器を導入しており、検査、治療とも安心して受けて頂けると自負しております。当初よりカプセル内視鏡や小腸内視鏡も導入しており、クローン病などの炎症性腸疾患についても当院で診断、治療まで一貫して行うことが可能です。早期胃癌、早期大腸癌の内視鏡治療や、総胆管結石から胆道癌、膵癌などの胆膵疾患の内視鏡検査や治療はもちろん、外科手術も外科と連携して行っています。
 胃腸症状でお困りの方は、いつでも直接、もしくはご紹介にて来院頂けますと幸いです。

内視鏡センター部長 大林友彦
内視鏡センター部長 大林友彦

内視鏡センターの理念

理念にもとづき、満足していただける医療が実践できるように努めております。

1.より苦痛を少なく、安心して内視鏡検査を受けられるように
2.より簡便に内視鏡検査を受けられるように(患者さん、紹介医より)
3.より質の高い内視鏡検査および治療が受けられるように

患者さんに苦痛の少ない検査のために

鎮静剤(静脈注射による意識下鎮静)の使用について
より苦痛の少ない内視鏡検査を受けていただくため、当院では積極的に鎮静剤(静脈注射による意識下鎮静)を使用しています。 検査に対して不安の強い方や、以前に胃カメラを受けて苦しい経験をした方、大腸内視鏡検査が痛くて大変だった方などにおすすめしています。 検査後は眠気がしたり、注意力・運動能力の低下などが起こる可能性がありますので、約1時間は専用のリカバリー室のベッドで休んでいただきます。 検査当日はお車や自転車の運転はできませんのでご注意ください。

※鎮静剤の効果は、個人差があります。必ずしも皆さん同様の効果の期待ができるとは限りません。
また健忘症状(検査中の記憶がない)などもみられます。
検査中は医師の判断により、鎮静剤の使用量を減量したり中止することもあります。

炭酸ガス送気

通常、内視鏡の検査では胃や大腸に空気を入れて膨らませながら検査をするため、検査の後のお腹のハリが苦痛となります。 当院では、患者さんの苦痛が少しでも和らぐように、空気より100倍以上早く水分に吸収される、炭酸ガス送気を導入しています。

お知らせ

2020年10月1日より内視鏡センターに名古屋市内初導入の内視鏡システムが導入されました。
・富士フイルム ELUXEO7000 1台
・オリンパス  EVIS X1    2台

診療内容

上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査と治療

検査

上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査は、腹痛、貧血などの原因を調べるため、食道・胃・十二指腸に発生した潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。口(経口)または鼻(経鼻)から内視鏡を挿入し、上部消化管(食道・胃・十二指腸)を観察します。 その際、顕微鏡での組織検査のため、病変の一部を採取(生検)することがあります。 検査時間は通常5~10分です。 また、超音波内視鏡(EUS)を用いて病変を詳しく調べたり、治療としてがんやポリープを内視鏡的に切除することも可能です。
当センターでは、細径内視鏡を用いた経鼻内視鏡検査(鼻から入れる内視鏡)も行っています。 検査中の嘔吐反射が少なく比較的楽に検査できます。 ただし、経鼻内視鏡は操作性や画像の解像度が経口の内視鏡に比べてやや劣る部分もあり、内視鏡による処置にも多少の制限があります。

狭帯域光観察:NBI(Narrow Band Imaging)BLI(Blue LASER Imaging)

このシステムでは、狭帯域化された2つの波長の光を用いることにより、発見が困難な病変を見つけたり、がんの範囲の詳細な診断をすることが可能です。 特に、食道がんや咽頭、喉頭のがんはNBIで観察することで、発見の精度が上がります。

上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査の注意事項
  • 検査前日の夕食は、午後9時までにとります。それ以降は絶食です。水などの水分摂取は構いません。
  • 当日の服装は身体を締め付けるものは避けてください。(和服、腹巻、ボディスーツ、ガードルなど)
  • 検査中は肩・首・のどの力を抜いて、なるべくげっぷは我慢してください。
  • 検査後は、喉に麻酔をしましたので、飲み物は1時間後、食事は2時間後からにしてください。

※検査前に胃の動きを弱める注射をした方は人により目がチカチカしたり、喉が渇いたりすることがあります。症状が治まるまで車や自転車は事故の危険がありますので運転をしないでください。
※眠気のくる注射(静脈注射による鎮静剤)をした方は、約1日は薬の効果が残りますので足がふらついたり、一度醒めても再び眠気がくる場合があります。本日は車やバイク・自転車の運転はやめてください。

早期胃がんの内視鏡的治療

内視鏡治療の対象となる胃がんは、病変が一括で取れる部位と大きさであり、リンパ節転移の可能性がほとんどないほぼ粘膜内にとどまっていると診断された早期胃がんになります。
内視鏡的治療が外科手術に比べ優れた点は、入院期間が短い上に、おなかに傷がつかず、大きな併発症がなければ退院後の食生活、社会生活に支障がないことです。劣っている点は、切除した組織の状態によっては遺残病変の有無が確認困難な場合があり、将来再発する可能性があることや、切り取った病変の組織検査の結果、局所にがん細胞が残っている可能性がある場合や、がんがリンパ節に転移している可能性があると判断された場合は、さらに外科手術が必要になることです。
内視鏡を使った早期胃がんの治療法には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2種類があります。

内視鏡的粘膜切除術:EMR(Endoscopic mucosal resection)

スネアと呼ばれる金属の輪を病変部に引っ掛け、高周波電流を流して病変を切り取ります。EMRは、治療が比較的短時間ですみますが、一度に切り取ることができる病変の大きさは、スネアの大きさ(約2cm)までと制限があります。

内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD(Endoscopic submucosal dissection)

専用の処置具を使いより広範囲に病変を切り取ることが可能な治療法です。切り取られた病変は、最終的に顕微鏡でその組織の様子が確認されます(病理検査)。この方法では、大きな病変をひとかたまりで取り、病理検査でより正確な診断を行うことができます。
ESDは大きな病変も一括して切除可能ですが、手技が煩雑で時間がかかり、出血や穿孔などの併発症が生じる場合があります。ほとんどの場合内視鏡的に止血可能ですが、稀には輸血、開腹手術などを要することがあります。

1-マーキング
内視鏡を胃の中に入れ、病変の周辺に切り取る範囲の目印をつける
1-マーキング
内視鏡を胃の中に入れ、病変の周辺に切り取る範囲の目印をつける
2-局注
粘膜下層に薬剤を注入して浮かせた状態にする
2-局注
粘膜下層に薬剤を注入して浮かせた状態にする
3-切開
マーキングを切り囲むようにナイフで病変部の周囲の粘膜を切る
3-切開
マーキングを切り囲むようにナイフで病変部の周囲の粘膜を切る
4-粘膜下層のはく離
専用ナイフで病変を少しずつ慎重にはぎ取る
4-粘膜下層のはく離
専用ナイフで病変を少しずつ慎重にはぎ取る
5-切除完了
ナイフを使って最後まで剥離する、またはスネアで切り取る
5-切除完了
ナイフを使って最後まで剥離する、またはスネアで切り取る
6-止血手順
切り取った後の胃の表面に止血処置を施し、切り取った病変部は病理検査に出すために回収する
6-止血手順
切り取った後の胃の表面に止血処置を施し、切り取った病変部は病理検査に出すために回収する
7-病理検査
切り取った病変は顕微鏡による組織検査をして、根治しているかの判断をする
7-病理検査
切り取った病変は顕微鏡による組織検査をして、根治しているかの判断をする

下部消化管内(大腸カメラ)視鏡検査の検査と治療

下部消化管(大腸カメラ)内視鏡検査では、肛門より太さ約13~14mmの内視鏡スコープを挿入し、空気(炭酸ガス)の注入を行いながら大腸のヒダをたぐり寄せて盲腸まで挿入します。 盲腸へ到達後、ポリープやがん、炎症などの病気がないか観察しながら内視鏡スコープを抜いてきます。 途中で病変が見つかった場合は、必要に応じて病変の一部を採取(生検)して調べたり、ポリープや早期がんなどの病変を内視鏡的に切除することもできます。検査時間は通常10~15分程度ですが、ポリープを切除すると通常より時間は長くかかります。

下部消化管(大腸)内視鏡検査の注意事項
  • 大腸の内視鏡検査を行うには、大腸の中を空っぽにしなければなりません。検査の予約の際に渡される説明書に従って準備してください。
  • 当日は朝9時から、1~2リットルの下剤を、約2時間かけて飲んでいただきます。検査は午後から、便がきれいになった順に行います。

※検査前に胃の動きを弱める注射をした方は人により目がチカチカしたり、喉が渇いたりすることがあります。症状が治まるまで車や自転車は事故の危険がありますので運転をしないでください。
※眠気のくる注射(静脈注射による鎮静剤)をした方は、約1日は薬の効果が残りますので足がふらついたり、一度醒めても再び眠気がくる場合があります。本日は車やバイク・自転車の運転はやめてください。

大腸ポリープまたは早期大腸がんの内視鏡治療

良性のポリープや早期がんの中でも粘膜だけにとどまっているもの、粘膜下層へわずかに広がっているものが内視鏡治療の適応となります。 小さなポリープに対しては、鉗子でつかみながら高周波電流を用いて病変の根もとを焼き切ります(ホットバイオプシー)。 茎のあるポリープに対しては、輪の形のスネアを茎の部分でしめ、高周波電流を用いて切断します(ポリペクトミー)。 茎のない病変に対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などを行います。

ポリープを切除した方へ
  • 食事は消化の良いものを食べてください。香辛料など刺激の強いものは避けてください。
  • アルコールは1週間禁止です。
  • 検査後、1週間は出血する危険性がありますので、トイレを使用するときは出血がないか確認するようにしてください。出血が続いたり痛みが強いなどの異常がみられましたらご連絡ください。

小腸内視鏡検査

小腸は長いため、これまで内視鏡で観察することは困難でしたが、カプセル内視鏡やバルーン内視鏡により、小腸すべてを観察することが可能となりました。

カプセル内視鏡

カプセル内視鏡は、ビタミン剤のように自分で口から飲み込み、消化管を通過しながらその内部を撮影することができる、約11mm×26mmのカプセル型の内視鏡です。 カプセル内視鏡は消化管を通りながら小腸の写真を撮影し、その画像は腰に取り付けたデータレコーダに記録され、8時間で得られた約5万枚の画像を専用のビューワーを用いて読影します。 当院では名古屋大学の読影のネットワークを利用し、専門医に読影をしていただきます。
カプセル内視鏡は患者さんの負担が少なく、小腸全体を観察することができますが、食道や胃や大腸は十分に観察することはできません。 小腸にたまっている内容物の影響や、撮影時間に限りがあるため、小腸の奥のほうまで観察できないこともあります。

カプセル内視鏡検査の流れ

検査前日の夕食は、午後9時までにすませます。それ以降は絶食です。水など水分の摂取は構いません。 おなかにセンサーを装着し、レコーダーを腰のベルトに固定し、水とともにカプセルを飲みます。 2時間後より水を飲むことができ、4時間後には軽い食事もできます。
検査は通常午前9時頃に開始し、8時間後の夕方5時頃に装置をはずします。 検査中は、強い磁気にさらされたり激しい運動さえしなければ自由に行動でき、通常の日常生活をすごしたり仕事をすることも可能です。

ダブルバルーン内視鏡

ダブルバルーン内視鏡は、小腸の出血性病変を疑う場合や小腸の通過障害、クローン病などの病気が疑われる場合などに適応となります。 ダブルバルーン内視鏡とは、長さ2mの長いスコープとバルーンの付いたオーバーチューブを組み合わせたものです。 小腸内で2つのバルーンを交互に膨らませて固定し、腸管をたたみ込んで内視鏡を進めることで、内視鏡検査が難しかった小腸全体の内視鏡精密検査・治療を可能にしました。
バルーン内視鏡は、X線透視で適宜位置を確認しながら進めます。経口的にも経肛門的にも挿入することが可能で、両方向からの挿入を組み合わせることにより小腸すべてを観察することもできます。観察するだけでなく、出血病変に対して止血したり、ポリープを切除したり、狭いところを広げたりすることもできます。
また、大腸が長かったり癒着のために大腸内視鏡を挿入することが困難な場合にも有用です。

超音波内視鏡検査:EUS(Endoscopic Ultrasonography)

超音波内視鏡検査は、内視鏡装置(胃カメラ)の先端部分に超音波(エコー)を発生する器械が装着されており、消化管や周辺臓器の断面像を描出する検査です。 体外式超音波検査とは異なり、胃や腸の中の空気や脂肪が、画像化の妨げになることはありません。 超音波内視鏡検査はより詳細な画像情報が取得でき、病巣がどのくらいまで深く進展しているか、リンパ節転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)などについての詳細な情報を得ることができます。さらに、胃や十二指腸と隣接している胆嚢・胆管 ・膵臓なども、胃壁あるいは十二指腸を通して精密に調べることができます。 このような精密な画像検査は、手術における切除範囲の決定等、治療方針に重要な役割を果たします。 精密検査になりますので検査時間は通常の内視鏡検査と比べ長くなります。

EUSスコープ
EUSスコープ

超音波内視鏡下穿刺吸引法:EUS- FNA(Fine needle aspiration)

超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は、胃や十二指腸の消化管から(超音波内視鏡:EUS)で膵臓・胆道などの腫瘤を観察し、消化管内から針を刺して組織を採取する方法です。 直接組織を採取し評価することにより、診断や治療方針の決定に役立ちます。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影:ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、十二指腸までスコープを進め、内視鏡の先端から造影カテーテルという細いチューブを膵管や胆管に挿入し、造影剤を直接注入してX線撮影を行います。 X線撮影だけではなく、管腔内超音波内視鏡(IDUS)を用いて胆管内を観察したり、顕微鏡で調べる組織を採取することも可能です。
また、内視鏡の先端から出したバスケット把持鉗子やバルーン付きカテーテルを用いて、胆管結石を砕いたり取り除いたり(採石)する治療や、腫瘍などで閉塞(狭窄)した胆管にステントを挿入し、胆汁の流れを良くする治療なども行っています。

管腔内超音波検査:IDUS(intraductal ultrasonography)

管腔内超音波検査(IDSU)は内視鏡の鉗子口から胆管や膵管に細長い管状の超音波を挿入し超音波画像を得る検査です。 細い胆管や膵管は腹部超音波検査や超音波内視鏡検査でも観察困難な場所ですが、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)検査で細い超音波プローブを直接胆管や膵管に挿入することでより、詳細な画像情報を得ることが可能です。

内視鏡スコープの洗浄について

当院では内視鏡検査による感染を予防するため、内視鏡ファイバーを1症例の検査毎に専用の機械で洗浄しております。 内視鏡による感染の心配はありませんのでご安心ください。

診療実績

H30年度R1年度R2年度R3年度R4年度R5年度
内視鏡検査総数7,6707,4816,3287,5037,5237,482
上部消化管内視鏡検査4,7804,5973,7434,4284,4824,554
上部消化管 ESD234124333245
下部消化管内視鏡検査2,4822.4852,1632,5732,5592,423
下部消化管
ポリープ切除術
862804548623630627
下部消化管 ESD202219193338
ERCP(ERCP関連治療を含む)252200204192169209
EUS(超音波内視鏡検査)9911175121104113
小腸カプセル内視鏡344238371815

よくある質問

Q内視鏡検査の検査時間はどのくらいですか。
A患者さんによって異なりますが、上部(胃カメラ)で通常5~10分ぐらい、大腸内視鏡は観察のみで通常10~15分ぐらいですが、大腸が長い人や手術の影響で腸が癒着している場合、ポリープ切除等の治療をした場合は通常より時間が長くかかります。
Q内視鏡で生検やポリープを切除するときに痛くないですか。
A腸ポリープは粘膜面に起こる病変です。その粘膜面には知覚神経は存在しないので、切除のときには全く痛みを感じないのでご安心ください。
Q内視鏡検査はどんなときに受ける必要がありますか。
A● みぞおちが痛む
● 最近食欲がない
● 体重が減ってきた
● 胸やけがある
● 食事がつかえる感じがする
  ⇒ このような症状のある方は、上部消化管内視鏡(胃カメラ)をおすすめします。

● よく便秘になる
● 最近下痢が多い
● 便が細くなった
● 便に血が混じる・肛門から出血する
● 貧血を指摘された
  ⇒ このような方は、大腸内視鏡検査をおすすめします。